■虫歯はなぜできる?虫歯の仕組みとは?
2023.03.23
虫歯というのは、医師や歯科医師から見ても極めて特殊な病気といえます。そもそも虫歯はなぜできるのか。その仕組みについて考えることは、虫歯を予防する上でとても有益といえます。そこで今回は、歯の専門家である歯科医師が、虫歯ができる仕組みについてわかりやすく解説します。
▼そもそも虫歯とは?
虫歯ができる仕組みについて考える前に、そもそも虫歯がどんな病気なのかを改めて確認しておきましょう。
◎歯が溶ける病気
虫歯が特殊な病気と言われるのは、骨と同じくらい、あるいはそれ以上に硬い組織が細菌によって溶かされるからです。同じ感染症である風邪やインフルエンザ、胃腸炎などではそのような症状が認められませんよね。それだけに虫歯になる仕組みについても詳しく知りたくなることでしょう。
▼虫歯になる仕組み
虫歯は以下のステップを踏むことで、歯が溶けるという症状が現れます。
STEP1 お口の中に虫歯菌が住み着く
生まれたばかりの赤ちゃんのお口には、虫歯菌が存在していません。歯も生えていないので、お口の中がどれだけ汚れても虫歯になることはないのです。それが家族とのスキンシップなどを介することでお口の中に虫歯菌が住み着くようになり、虫歯の予備軍となっていきます。
STEP2 歯垢や歯石で虫歯菌が繁殖する
お口の中に虫歯菌が常在していても、すぐに虫歯になることはありません。毎日の歯磨きをしっかり行えていれば、歯の表面をツルツルに保てるため、虫歯菌が定着することができないからです。そこに歯垢や歯石が形成され、歯の表面がザラザラになると虫歯菌の足場が作られてしまい、虫歯リスクが上昇します。
STEP3 虫歯菌が酸を作り出す
歯の表面に定着した虫歯菌は、食べ物に含まれる糖質をエネルギー源として「酸」を作り出します。歯を構成するエナメル質や象牙質は、酸への抵抗力が著しく弱く、虫歯菌が作り出す酸によって容易に溶かされてしまいます。これが虫歯によって歯が溶ける仕組みです。
STEP4 虫歯菌が神経にまで感染を広げる
虫歯菌がエナメル質と象牙質を溶かし、歯の神経にまで達したら、いよいよ「歯痛(しつう)」が生じます。安静にしていても歯がジンジンと痛むあの症状ですね。外からの刺激を感知する神経そのものが細菌に感染するのですから、それ相応の痛みも生じます。
▼虫歯を予防する方法
ここまでは、虫歯ができる仕組みについて解説してきました。そのメカニズムを理解すれば、虫歯を予防する方法も自ずと見えてきます。
◎虫歯菌に感染しない
虫歯を予防する最も効果的な方法は、小さい頃に虫歯菌に感染しないことです。ほとんどの人は、「感染の窓が開く」と呼ばれる時期1歳半から2歳半にかけての1年間で虫歯菌に感染します。この時期にご家族がスキンシップや食器の共有などを控えることで、虫歯菌への感染を根本から防ぐことが可能となります。
◎歯垢や歯石をためこまない
虫歯菌は、歯垢や歯石がなければ大量に繁殖することはできません。セルフケアを徹底することで歯垢の形成を抑え、それでも残ってしまう汚れはプロフェッショナルケアで一掃しましょう。
◎虫歯菌に酸を作らせない
虫歯菌は、お口の中に糖質がなければ酸を作れません。虫歯菌のエサとなる砂糖などの糖質の摂取量を抑えることでも、虫歯の発症を予防できます。
▼まとめ
今回は、虫歯ができる仕組みについて、藤本歯科クリニックが解説しました。虫歯と言う病気の成り立ちを知ることで、虫歯予防に生かしていただけたら幸いです。